ニーズとシーズの出会いを求めて 関西FRPフォーラム

ご挨拶

代表 野田 淳二

このたび、関西FRPフォーラムの代表を拝命いたしました、近畿大学生物理工学部の野田淳二です。まず初めに、長年にわたり本フォーラムを牽引してこられた藤井透先生(同志社大学名誉教授)に、心より敬意と感謝の意を表します。

藤井先生との出会いは、今から14年前のあるシンポジウムでした。懇親会の後も深夜まで、学会や研究会の在り方、若手の育成、産学連携の課題と可能性について語り合ったあの夜の記憶は、今も私の研究・教育活動の原点のひとつです。先生の言葉には、技術への情熱だけでなく、「場を育て、人をつなぐ」ことへの真摯な姿勢が込められており、その背中から多くのことを学ばせていただきました。
また藤井先生とは、「グリーンコンポジット」という研究テーマにおいても共通点があります。環境親和性を持ちつつ実用的な性能を実現するこの材料は、将来の循環型社会を支える可能性を秘めていますが、コストや加工性など、現時点では多くの壁が存在します。これらを乗り越えるには、大学と企業が役割を補完し合う産学連携が不可欠です。関西FRPフォーラムが、その架け橋として機能し、研究開発の加速と実用化の推進につながればと考えています。
私自身は関東出身で、関西に拠点を置くようになってからおよそ10年になります。それ以前には、金沢や山口でも研究活動を行っており、関西という地域を遠巻きに、そして客観的に眺めてきました。その視点から強く感じるのは、関西には優れた技術、人材、そして歴史ある大学・企業が多く存在しているにもかかわらず、それぞれがやや孤立的に動いている印象があるということです。いま求められるのは、「オール関西」の視点で横のつながりを強めること。そして「打倒関東」といった内向きな意識ではなく、世界と勝負するという心意気だと思っています。私もその一助となれるよう、尽力する所存です。

その一環として、今年度から新たに学生会員制度を設けました。これは、複合材料に関心を持つ学生に対して、学びや交流の場を提供するとともに、企業の皆さまには人材との出会いや、学生の考え方に触れる機会を提供することを目的としています。未来を担う若手と現場を支える実務家が交わることで、より強い技術コミュニティが生まれることを期待しています。

関西FRPフォーラムは、FRPや複合材料分野における知見の共有と人的交流を通じて、地域産業と技術の発展に貢献してきました。今後もその精神を引き継ぎながら、変化の時代にふさわしい「開かれたフォーラム」へと進化させていきたいと思っております。

皆さまの温かいご支援とご協力を賜りますよう、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。